予想以上だ。着替え終わった綱吉を見て、雲雀は目をみはった。
中性的な顔立ちと、最近鍛えられ始め筋肉がついてきたとはいえ、まだ華奢な身体に本来女性用のその服はとても似合っていた。
「ワオ」
流石僕。半ば自画自賛を込めた感嘆は、綱吉には失望のそれに聞こえたようだ。
「似合わないって言ったじゃないですか!」
「そうかな。すごく似合ってるけど」
「嘘つかないでください、気持ち悪いでしょう」
だから嫌だって言ったのに!
大きな瞳を潤ませて訴える。羞恥に赤く色づいた頬はかじりつきたくなるほどだ。
(全く、どうしてこの子は自分の魅力に気付かないのかな)
頭の片隅でそんなことを考えつつも、その視線は綱吉から外れない。
「綱吉」
ベッドに腰掛けたまま、雲雀は手を綱吉に差し伸べた。
「おいで」
綱吉はするとしぶしぶと、しかし素直に雲雀の手を取る。
ぐい、
「わ、」
その手を掴むなり彼を自分の方向に引っ張ると、慌ててバランスを取るために雲雀の両肩に手をついた綱吉を抱きこむ。
「君、こういう格好は嫌い?」
「嫌いって云うか…、自分が着るのはイヤですよ。慣れないし、なんかスカートの下がすーすーするし、」
そう云って居心地が悪そうに身じろぎする。その様子が可愛らしくて雲雀は首を伸ばして綱吉に口付けた。
「…ん、」
ちゅ、ちゅ、と何度も音をたて、少し開いたそこを侵入する。そのまま舌を絡ませ強く吸う、ねっとりとした深い口付けに綱吉の身体がくたりとなるのが分かった。
「んぅ、…んん…っ!…ふ、」
唇を離してやると、いつの間にか雲雀の頭を抱えていた綱吉は目を瞑ったまま力が抜けて動けないようだった。そんな彼をひょいと己の膝の上に乗せる。柔らかな頬を唇でなぞりながら、耳元で囁いた。
「綱吉をもらってもいい?」
クリスマスプレゼント、と。声を潜めたそれに、綱吉はかあっと赤くなった。
「ダメ、って云っても聞いてくれないくせに…」
「うん、聞かないけどね」
くすくす笑いながら、そんな綱吉を抱き上げベッドの上に下ろした。
ピチャピチャと濡れた音が嬌声と交じり合う。ただでさえ短いスカートを巻くり上げ、下着を脱がされた綱吉はひたすら喘ぐ。
「ぅんッ、…は、あ、んん…ヤダ、ひ、ひばりさん、離して、」
綱吉の勃ち上がったものを口で可愛がっていた雲雀は、その訴えに口に含んだものを離さないまま視線だけを恋人に向けた。
「どうして」
「ひ、!しゃ、喋らない、でッ!あ、…も、イッちゃう、」
もじもじと腰を動かす綱吉に、いいよと応える代わりにまだ子どものそこに強く吸い付く。
「んぁ、ぁああ!」
びゅうっと勢いよくでたそれをこくりと飲み込んで雲雀は顔をしかめた。
「…苦いね」
「は、う、」
乱れた呼吸を整えようとしている綱吉は返事ができない。小さな乳首が服越しにすら分かるほど尖っているのが分かって、そこを押してみると敏感な身体はおもしろいほどに反応した。
「ひ、あ!」
「ねえ、綱吉、」
「…あ、なんです、か」
快楽の名残に潤んだ瞳で見上げられ、ぞくりと身体の中心に熱がこもる。それを押さえつけ、
「服着たままだと綱吉のここ弄れないから、上だけボタン外してくれる?」
「は、い」
震える手でゆっくりと赤と白の服の一番上のボタンを外そうとするのを見てから、ポケットから潤滑油を取り出し、それを右手に垂らして雲雀はスカートの下から手を入れた。
馴れつつある身体は、液体のおかげもあってたやすく雲雀の指を飲み込む。
「あ、」
びくりと反応した綱吉はボタンを半分ほど外しかけたところで手を止めてしまう。
「駄目だよ、ちゃんと外さなきゃ」
「はい…、ッあ、あん、」
注意しながら中をかき回すと、啼きながらもやっとのことで1つ目のボタンを外す。2つ目に差し掛かるのと同時に、雲雀も中に入れる指を増やし馴染ませるようにして動かした。
「は、あッ、あ、ああ!」
「ほら、ボタン」
静止した手を咎めるように、空いた手でお尻をぱん、と軽く叩くと、あん、と高い声を上げてナカをうねらせた。同時に無意識にか淫らに腰が動く。イッたばかりの前もいつの間にか再び勃ち上がり、だらだたと白いものを流している。
「ゃ、もぅ、ムリ…ッは、ん、」
「仕方ない子、」
雲雀は左手で残ったボタンを外すと、そのまま口元を近づけて姿を現した赤い実に吸い付き、軽く咬んでからすぐに離してひっきりなしに声を上げる小さな口に噛み付くようにして深く口付けた。
「んんー、ンう、…ふあ、」
やわらかく溶けた後孔から指を抜くと、せわしげに雲雀はズボンからたぎったものを取り出し、突き入れた。
「ああああ!」
狭いのに、どんどん中へ中へと招き入れるそこは熱くうねる。馴染むまで待とうと思うけれど、とても我慢できずに雲雀は呻いた。
「ごめ、…我慢、できない」
「え、あ、あ!ま、まって、ああん、ッ!」
「待てない」
耐え切れずに動き出した腰に、綱吉は悲鳴じみた嬌声を上げながら雲雀の背中にすがる。
「はあ、ん!ああ、もち、イイよぅ…ッふあ!」
「ふ、…つなよし、」
「溶けちゃ、あん、ぁあん、ア、は、」
「溶けて、」
どろどろになって、ひとつになればいい。
お互いが吐き出す呼気と、どちらのものともつかない交じり合った汗とでぐっしょりと濡れながら止まない律動に、快感のあまり涙を流しながら綱吉は限界を訴える。
「イ、イク、もぉ、…め、ア、あああああッッ!!」
「は、あ、…ッ!」
同時にすさまじく蠢いた粘膜に堪えきれず、もっていかれるように雲雀も熱を吐き出した。
どさりと綱吉の上にのしかかると、同じくらいの速さで動く自分の心臓と綱吉の心臓が重なりあうのを感じ、雲雀は緩やかに微笑んだ。
「綱吉?」
返事をしない恋人にいぶかしんで見下ろすと、彼は気を失っていた。
ばら色に染まった頬に音を立ててキスをして、雲雀は聞こえないことを承知で囁いた。
「愛してるよ」