一人でいても暑いのに、二人でこうして隙間もないくらいくっついていると外からも中からも熱い。ジクジクと疼く全身の感覚機能がきっと壊れているのだ。泣きたい気持ちでぼんやりと思った。身体の一部を繋げて全身を絡ませるこのやらしい行為は、体温を上げて上げて、上限などないくらいに頭をおかしくさせる。ドドド、心臓から勢いよく全身を巡る血の音すらも聞き取れそうな錯覚。ハアハアと息を荒くして、まるでそれだけが命の糧であるかのように貪りつかれた、唇と唇、歯と歯がぶつかって隙間からぬるりと熱いものが入りこむ。んんぅ、と自由にならない喘ぎ声はそのまま口内で反響した。舌を舌の先でざらりと撫でられ、その奥にまで伸ばされる。同時に上と下の動きを合わせようとでもいうのか、腰をガン!と強くつかれて条件反射のように上がった喘ぎ声は二酸化炭素と唾液と共に奪われる。欲深い人!ぼろぼろと溢れては零れていく涙の向こうでいつもの冷然とした顔はどこへやら、熱で赤らんだ顔、汗を浮かべながら言葉をなくした肉食獣は目じりをさげて綱吉の唇から舌を抜き取り、涙をすくいとってこくりと飲み込んだ。欲深い人!オレの何もかもを奪うつもりか!心も身体も思考も一粒の涙も、言葉すら!一方的な搾取だなんて許さないと、かろうじて自由になる指をたてて爪を、汗で滑りやすくなった背にたてた。野生のこの人の背に傷をつける、それを許されることが何より綱吉の陶酔を誘う。無防備に触れることを雲雀が赦した相手は片手にあまる。けれどそれが自分一人でないことが憎たらしかったのだ。この人は知っているだろうか、オレがこんなことを考えていることを。ああでも、これ、これだけは!己と相手をかけあわせて、子を孕むための原始じみたこの行為、それを子宮の持たない同じ性で行う、不自然で歪で愛を伝えるこれだけは別だと綱吉は喘ぎながら頭のどこかでうっすらと思う。初めてのときの衝撃といったらなかった。痛いとか気持ちいいとかでない、自分という存在が全部叩き落とされたような、叩きつけられたような感覚。漸く自慰を覚えたばかりの、まだ未発達な身体に雲雀は手をだした。想いを、伝え合って間もないころ。側にいると心臓がばくばくして、目を合わせて頬を染めて、そんなことがまだ日常にならないうちのこと。唐突に押し倒されて呆然とする綱吉に言い放った、雲雀の一言。我慢できないんだけど。愛すると優しくすることは同意語ではないと知った。ひとつひとつを教えこむようなものではなく、粘土に拳を思い切り叩きつける、そんな風だった。彼を受け入れる前の、いわゆる前戯とよばれるときの快楽なんて一瞬で吹っ飛ぶ。悲鳴を上げても止めてくれないどころかそことお腹から感じる圧力はより増して、ぶるりと猫のように身震いをひとつ、堪えるように熱に潤んだ夜の色の瞳と涙の向こうで視線がかち合った瞬間殺してやろうと思ったほどだ。こんなに、こんなに痛いのになんであんたは一人で気持ちよがっているんだ!痛い痛いと言っているのに聞いてくれないのに切れそうになって、――きっとあれが、愛しさあまって憎くさ百倍というやつだ――そうその時に爪をたてて背中を引っ掻いたのが最初。それから何度この綺麗な背に傷をつけただろう。がくがくと揺さぶれながらそんなことを思っていると、思考がよそにいっていることに気づいたのだろう、がぶり!と肩を思い切り咬みつかれて痛い!と悲鳴を上げた。愛撫なんてそんな気持ちの良いものではない攻撃用の牙で!何するんですかあんた!!きっと痛みで涙を浮かばせながら睨みつけて文句を言うと反対に形のよい眉を歪めて深く奥へと突き上げる。途切れ途切れ高い声しかでないオレに何か文句を言ったようだけど、あいにく自分の声のでかさに反して彼の声はとても小さくて聞こえなかった。加えて肩の痛みはじんじんと今もって熱を帯びていたけれど、いつの間にかその熱さすら全身の血を沸騰するのに尽くしている。心臓の音と同じような荒い呼吸で酸素を取り込みながら一度つけた傷の上に爪をぎり、と立てる。爪の間にぬめった液体、ああきっと血が、雲雀さんの血がオレの爪の間に入ったのだ、痛みに一度目をつむった彼をいい気味だと思いながら、その熱もオレと同じように興奮剤になればいいと思いながら、











獣に咬みついてキスをした!