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「爪、伸びてきたね」 ふと気づいたように言った雲雀の言葉に、綱吉は目を瞬いた。ふわふわとした髪と同じ、色素の薄い睫がぱさりと揺れる。そして自身の手元に視線を移した。 「そう、ですか…?」 爪は指の先より少し伸びている程度だ。それほどでもないんじゃないかな、と首をかしげていると、同じように綱吉の手を見ていた雲雀は頷いた。 「うん、伸びてきた。痕がね、つくようになってたから」 ここに、と背中を示す。綱吉は何のことをいっているのだろうときょとんとして、それからきっかり5秒後に何を言っているのか理解する。 「ひ、ひひひひ…っ」 「うん?」 「ひばりさんのえろまじんー!!」 顔を真っ赤にして叫ぶ綱吉に、何をそんなに過剰反応するのか理解できず、雲雀は応えた。 「別に変なことは言ってない。事実を述べただけだけど」 「じっ事実だから言っていいわけじゃないです!」 「…なんで」 「なんででも!」 納得がいかないな、そう呟きながら雲雀は眉をよせる。綱吉の感性は時々理解できない。 いやいや理解できないのは貴方のほうですよ!と綱吉がツッコミをいれそうなことを考えつつ、彼は息を吐いた。 「まあいいけど。昨日ワイシャツ脱いだときに、血がついてて」 「え、」 びくん、と華奢な肩が揺れる。見開いた琥珀に心配させてしまったかと苦笑した雲雀は、大丈夫だよ、と微笑んだ。 「僕のせいでもあるわけだし」 「で、でも雲雀さん、消毒しました!?」 ばい菌が入ってしまう、と雲雀の発言はスルーして綱吉は身を乗り出す。そんな彼を当然であるかのように腕の中に引き寄せながら、そうだね、と雲雀は薄く微笑んだ。 「消毒してくれる?」 綱吉、と。耳元で囁いた、低く甘いそれに頬を染めつつこくりと頷いた綱吉は、それが猛獣の檻の中に自身が入り込んだことにまだ気づかない。 (猛獣はいただきます、と舌なめずりをした!)