※17歳の佳主馬くんと13歳の健二くんの、年齢逆転パロです。








夏希が連れてきた13歳の少年は、まだ成長期が訪れてないせいだろう、小柄で肉付きも良くなく、風が吹けばそのまま吹き飛ばされてしまいそうだった。自分もこのくらいの年のころは身長があったとはとてもいえないが、それでも少林寺拳法をしていたためか健二よりはしっかり筋肉がついていた。これでは小学生と間違えられても仕方ないだろう。実際年齢を教えられるまで、小学生だと思っていた。そう言ったら傷つくかもしれないから、黙っているけども。

その、小学生とも見間違う少年の心が持つ強さに、救われた自分を佳主馬は知っている。
AIとの戦いに一度敗れた自分を信じてくれた健二。そのひ弱な身体に似合わない、数学に関しての天才的な頭脳と、秘められた精神力。彼の言葉があったからこそ自分たちは戦うことができたのだ。







「佳主馬さん、佳主馬さん」

万助に稽古をつけてもらった後、汗をぬぐいながら背中から聞こえてくるボーイソプラノに振り向く。
黙って手招きをしてやると嬉しそうに健二が駆け寄ってくる。見えない尻尾がぱたぱたが揺れている。少年の動作は彼のアバターであるリスとも似ていて、なんだか微笑ましい。
陣内家の血を引くものは、性格の差はあれど基本的に皆騒がしい(若干の例外はいるが)。その中でもっとも無口な部類に入る佳主馬は、騒がしいのは好きではないため、健二の控えめさを気に入っていた。周りに気を使いすぎてすぐ遠慮してしまうところは直してもいいんじゃないかと思うけれど。
ぽすんと頭に手をやって撫でると、えへへと恥ずかしそうにはにかむ。…可愛いな。よしよしと自分の満足するまで撫でて、「何か用?」と尋ねると、健二はふるふると頭を振った。
「いえ、用はないんですけど、納戸にいなかったからどこに行ったのかなと思って」
「さっきまで師匠と稽古していたんだ。ちょうど終わったところ」
「少林寺拳法の、ですか?」
「そう」
「また稽古しますよね?」
「うん」
「じゃ、じゃあ、そのとき見に行ってもいいですか?!」
目を輝かせた健二の勢いに、佳主馬はぱちりと瞬きをした。その沈黙をどうとったのか、健二はしゅーんと肩を落とす。あ、尻尾が垂れ下がった。
「迷惑ですよね…」
「別にいいよ、健二くんなら」
邪魔はしないでしょ、と言うとぱっと顔を上げる。
「はい!邪魔しません!」
「じゃあ次にするときは、呼ぶから」
「ありがとうございます!」
にこにこする健二に佳主馬は気づかれないように息をついた。どうにも健二には弱い自覚は、ある。それが嫌でないのが問題なのかもしれない。
顔でも洗おうと思い、裏手にある井戸に向かうとちょこまかとついてくる。意識する間もなく自分の心の中に居座ってしまった少年の楽しそうな顔を肩越しに見ながら、佳主馬は無意識に微笑んだ。










後日稽古を見たあとの健二が、キングカズマみたいだ!と興奮していた。あまりの興奮ぐあいにもっと喜ばせたくなって肩車をしてやったら、通りがかった夏希が「二人ともアバターそっくりね!」と爆笑した。





健二くんとぼく




09.09.15