だってきみは僕のもの
※黒健二さん注意。
※かずけんです。
けんじさん、けんじさん、と。
泣きそうな、熱に浮かされたような声音は母を求める幼児のごとく絶対的な思慕を含んだそれで、健二は柔らかく微笑んでみせた。だいすきだよ、佳主馬くん。
健二は己がここまで歪なイキモノだとは知らなかった。健二の微笑みに嬉しげに身体をすりよせて、唇をついばむ、ああ可愛い、大好き、佳主馬くん。浅黒い肌は汗でしめっていて、健二の奥をつらぬいた楔が蛇のようにびくりとうごめく。あえかな声を洩らすと、けんじさん、とねだるような声で名前を呼ばれる。いいよ、と返事をするかわりにいまだ未発達な華奢な背にすがりつくと、こらえきれなくなった佳主馬は小さく呻いて律動を開始させた。性交に不慣れな少年は相手に快楽を与えるよりも自分の快楽を追うのに精一杯で、がくがくと揺さぶられながら健二に馴染みのない痛みをもたらしたが、それ以上に彼は悦楽を感じていた。これで、この子はぼくのもの。自分の腹の上で、けんじさんけんじさんととろけきった表情でうわごとのように佳主馬が腰を前後させる。可愛い、ああねえこれで君はぼくのもの。僕だけを見て僕だけを愛してね。心の裡に巣食った黒いものが甘く甘く囁く。そのきれいな心の中に、僕を棲ませてね。ぽろり、溢れた雫は佳主馬に気づかれる前に目尻を伝い床に落ちた。ゆるく立ち上がった健二のペニスが佳主馬の腹に擦られて先走りで彼の腹を汚す。何度か突き入れるうちに、耐え切れなくなった若い腰がぶるりと震えて、佳主馬は声を上げて健二の奥を熱い精液で濡らした。健二の名前を小さく叫んで達した佳主馬と同時、快楽に顔をゆがめた少年の顔を見上げながら健二も白濁したものを吐き出す。は、は、と佳主馬は浅く息を吐きながら健二の上に身体を預ける。どどど、早鐘のように重なった胸からお互いの心臓の音を感じる。
佳主馬のさらりとした髪に顔を埋めながら、健二はうっとりと微笑む。佳主馬くん、色に濡れて囁く声は、蝶を捕らえた蜘蛛のごとく艶やかな、至福に満ちていた。
お題配布元「確かに恋だった」様
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